認知症の母との面会
1ヶ月ぶりの再会
日頃は、なるべく母のことを意識しないようにしてる。
何故なら、”落ちてしまう”から。
鬱に転じてしまう可能性があるから、考えないように。
これは、私なりの自分自身を守る方法なのです。
(冷たい人と思う方もいらっしゃるでしょう。)
まず、自分を満たすたこと。
楽しい状態であること。
幸せを感じることが出来る余裕があること。
エレベータに乗る前に自分の中の
スイッチを切り替え2階の病棟へ。
「今から、母に会う。」
インターホンを押して、
『どんな状態でも驚かない。』
『私のことを忘れていても悲しまない。』
『笑顔で!』
呪文のように唱えて、覚悟した。
ストレッチャー式の車椅子
母の身体は、右側へ大きく傾いている。
(想定範囲内)
介護職の方が、母を介助しながら
状況を説明してくれた。
被害妄想が酷く、昨日から薬が増えたこと。
手の震えが強くて、食事の時にはエプロンが必要なこと。
立位も難しくなってきたこと。
母の後ろ側で、分かりやすく
私に説明をして下さった。
(想定外)
少し離れたところで、
小さな声で伝えて欲しかった。
(心が痛む。)
忘れるかもしれないけど
理解していないかもしれないけど
私の心は、キュンとなった。
母に目を向けると、パジャマは
食べ物の汁で汚れていた。
「私なんか悪いことした?」
「私が邪魔なんやろ。」
「ほんまのこと言うて。」
母の右頬に涙がつたっていた。
「私が邪魔なんやろ。ほんまのこと言うて。」
「ひーさんと一緒になりたい。」
「ここから出して。」
何故、嫌なのかを尋ねてみた。
「気つかうから。」
「お金もないし。」
「私が邪魔なんやろ。ほんまのこと言うて。」
妹の精神的安定、社会復帰を第一にした結果母の生きるを犠牲にしてしまった。
「ここで薬の調整をして、また、おうちに帰ろう。」と、母に嘘をついた。
季節は、もう秋の兆しを感じるようになってきた。
このままで良いのだろうか。
この選択が正しかったのだろうか。
妹の中では想定範囲内なのだろう。
私もそのはずだった。
でも。
でも。
でも、どうにかいしたい。
その気持ちは揺るがない。
私は母を笑顔にすることが出来なかった。もう少し先の未来では、笑顔にできるかもしれない。その光が見えてきた。
今日も素敵な朝日と共にいつも最後まで読んで頂きありがとうございます。